「練りきり」とは?関東と関西で材料が違う?歴史や製法をご紹介

彩り豊かな練りきり。季節を形や菓銘で表現した趣のある和菓子です。実は関東と関西で材料や製法が異なり、「練りきり」「薯蕷練りきり」「こなし」の3種類があります。
それぞれの素材や製法が異なるのですが和菓子屋ではすべて「練りきり」と販売されているので気づいていない方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、練りきりとは?歴史、作り方、季節の代表的なモチーフについてご紹介します。練りきりを作るには和菓子職人がいないからと諦めていた方に、業務用で仕入れられる練りきりもご紹介させていただきます。

練りきりとは?

練りきりとは、白あんに求肥やつくね芋、やま芋、小麦粉などの材料を加え、調整して練りあげた「練りきりあん」を細工したお菓子を「練りきり」と呼びます。着色料で色を染めて、成型をして、季節の草花、果実、干支や行事のテーマにあわせて仕上げます。お茶席、お祝い事など特別な日に食べることが多い和菓子です。熟練の和菓子職人が手作業で仕上げています。

練り切りは上生菓子の種類の一つです

和菓子はできあがり水分量によって呼び分けられ、水分を30%~40%以上のものを「生菓子」といいます。生菓子は上生菓子、朝生菓子、中生菓子、半生菓子に分けられます。

練りきりは、「上生菓子」に分類され、上等な生菓子を指します。茶席では主菓子とも呼ばれます。上生菓子は茶道の文化とともに、発展してきました。練りきり以外の上生菓子についてもご紹介します。

上生菓子

練りきりの歴史

江戸時代、徳川幕府の頃、社会が安定し経済が発展して、砂糖の輸入量が増え、菓子作りを専門とする店ができました。京都では花鳥風月にちなむ菓銘や菓匠の菓子が生まれ、京菓子は高級菓子としてしだいに評判になり、江戸をはじめ各地で商売をする京下りの菓子屋が増えました。このような菓子は当時、高級だった白砂糖を使っていたこともあり上菓子と呼ばれ、大名や公家、富裕な町人層により、儀式や贈答、茶会などで使われました。上菓子の一つが現在の練りきりです。

練りきり

関東と関西で材料や製法が違う?

和菓子屋で練りきりとして販売されているお菓子ですが関東と関西、和菓子店によって材料と製法が異なっています。厳密には「練りきり」「薯蕷練りきり」「こなし」の3種類あります。材料と製法、食感について説明をします。

練りきり

関東の練りきり

関東の練りきりの製法は白あんに求肥を入れて、練り上げます。白く練り上げて、着色したときの仕上がりを重視します。粘りがあるので細工がしやすくなります。しっとりしていてなめらかな食感です。

関西の薯蕷練りきり

白あんに蒸して裏ごしたつくね芋や山芋を合わせて練り上げます。独特の粘りがあるため細工がしやすくなります。食べたときに芋の風味となめらかな口どけのよさがあります。主に関西で作られる製法になります。

京都のこなし

「こなし」の製法は京都を中心に広まったもので、茶席の菓子によく使われます。白あんに小麦粉やもち粉を混ぜて蒸します。熱いうちに生地に砂糖を混ぜて、固さを調整しながら仕上げます。もみこなしてて作ることからその名がついたとされています。
食感は重みのあるしっかりとした食感で練りきりに比べてかためです。型で成型したり、薄く延ばして畳むように仕上げたりする和菓子に使われます。

練りきりの代表的四季の形、モチーフ

春:桜・菜の花・つつじなど

桜の花や花びらは春の代表的なデザインです。桜の練りきりは華やかで店頭に並ぶと目を引きます。桜の咲き始め、満開、散り時と形、菓銘を変えて表現されます。菜の花は菜の花畑をイメージして黄色で仕上げます。緑色にピンク色の花をのせて、つつじを表現します。

練りきり 桜彩

夏:撫子・朝顔・花火・うちわ・端午の節句など

夏の花、撫子や朝顔でピンク色、桔梗は紫色で表現されます。打ち上げ花火の華やかさを練りきりの上で表現したり、金魚をのせたうちわを作ることがあります。初夏の端午の節句のかぶとや鯉のぼりも練りきりで表現をします。

練りきり 花火

秋:紅葉・菊・柿・うさぎなど

秋の紅葉をオレンジ色と黄色を混ぜて仕上げます。十五夜ではうさぎのモチーフで可愛らしく仕上げたり、重陽の節句に合わせて菊が使われます。秋の情景や行事に合わせた練りきりを作ります。

練りきり うさぎ

冬:椿・雪・梅・福寿草など

赤い色は椿や梅、牡丹をモチーフに使います。緑色は福寿草、白く仕上げて雪や鶴を表現することもあります。最近はクリスマスの練りきりもあり、ツリーやもみの木を表現することもあります。

練りきり 梅香

練りきりを食べる際のマナー

美しい練りきりを食べるマナー、気になりますよね?練りきりには黒文字や楊枝、フォークなどが添えられて提供されます。一口大に切り分けて、切った練りきりを刺して、口に入れましょう。細かく切り分けたりせずに、4等分ずつぐらいのサイズで切り分けるときれいに食べられるサイズです。

練りきりは何月が売れるの?

なごみやの上生菓子年間売上の推移(直近1年間)をグラフでご紹介します。10月の売上を100%としたときの売上の推移です。

練りきり 年間売上

グラフでもわかるように、12月、1月が練りきりが売れる時期、年末からお正月に上生菓子の購入率が上がります。なごみやで販売している練りきりは月ごとに作品が変わります。季節や行事に合わせて、10種類の中からお選びいただけます。

上生菓子を業務用で販売したい方にこちらの記事で注文方法をご紹介しています。受注製造のため、納品する月の前月1日10:00までにご注文をいただく必要がございます。

練りきり以外の上生菓子の種類

求肥、雪平

求肥とは、粉状のもち米や白玉粉に、水飴または水や砂糖を入れ練り上げたもので、そこにあんを入れると白い色の雪平ができます。求肥を利用した上生菓子や、雪平であんを包んで仕上げて細工をほどこします。もちもちした食感ですが砂糖をたっぷり入れるので固くなりにくいお餅です。

12月の上生菓子 商品名:求肥・侘助

きんとん

裏ごししたそぼろ状のあんをあん玉に箸でつけて仕上げる上生菓子です。季節で色を変えて、春はピンク色で桜、夏は緑色で新緑、秋は黄色とオレンジ色で紅葉、冬は白色で雪を表現します。口の中でほろほろと崩れます。

1月の上生菓子 商品名:きんとん・雪割草

鹿の子

あん玉に甘露煮にした小豆をつけて仕上げます。鹿の背の模様に似ていることからそう呼ばれます。小豆以外にも、大福豆や白小豆、うぐいす豆が使われることがあります。葉や花を飾ったりすることで季節感を出して仕上げて上生菓子として仕上げます。

4月の上生菓子 商品名:鹿の子・花水木

薯蕷(上用)まんじゅう

すりおろした、つくね芋ややま芋に米粉(上用粉)を合わせた生地であんを包んで蒸しあげたまんじゅうです。真っ白な仕上がりが美しく、細工を施して上生菓子に仕上げます。「じょうようまんじゅう」と呼ばれるのですがお店によって2つの漢字が使われます。芋を使っているので薯蕷まんじゅう、高級なまんじゅうという意味で上用まんじゅうと表されます。

4月の上生菓子 商品名:じょうよう饅頭・つくし野

まとめ

日本の四季や行事をお菓子に仕上げた練りきり。和菓子屋によって、素材、製法、デザインが異なります。自分に合う和菓子屋さんを探すのもおすすめです。
また、作れる和菓子職人がいないという、和菓子店、和カフェ、甘味店には仕入れて販売できる上生菓子もご用意がございます。

業務用で練りきりを仕入れたい方はこちら!

なごみや

なごみやでは業務用の練りきりを業務用に販売しています。年末に向けて練りきりの需要が高まります。作れないと悩んでいる方に冷凍納品、解凍だけで提供できる練りきりをご紹介させていただきます。お客様の事例で和カフェでメニューに加えたところ、客層が広がり、単価も上げることができて売上UPに繋がったとお声をいただいております。ぜひご検討ください。

この記事を書いた人

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渡邊友佳子

2020年なごみやに入社。前職では銀座あけぼのにて16年間、和菓子・米菓の商品企画を担当。東京製菓学校卒業後、茗荷谷「一幸庵」にて3年間修業。TORAYACAFE勤務。プライベートでもお菓子が大好きです。<資格>製菓衛生士、表示検定中級