お菓子屋、カフェ、喫茶店、外食店をこれから開業する方に知っておきたい知識として「仕入原価」があります。初めてお店を経営する際に課題となるのが「仕入原価」と「販売価格」とのバランスです。例えば、昨今の商品価格の上昇で仕入原価が変動した場合に販売価格も変動させる必要があります。健全な経営をするためには仕入原価や価格のつけ方を意識しておきましょう。「仕入原価とは?粗利を増やすポイント、価格のつけ方」を解説します。
仕入原価とは?
仕入原価とは、商品を提供するために他社から購入した製品の価格のことをさし、カフェの仕入原価の一例として、食材やドリンク、調味料、そのまま販売できる商品などが当てはまります。
「仕入原価=仕入れに掛かった費用」と考え、計算方法として「カフェ」を例に挙げご紹介します。
喫茶店では、コーヒー豆(100杯分)を2万円、砂糖(100杯分)を5000円で購入していました。
この時仕入れ原価はいくらになるか?この場合の仕入原価は非常に単純な計算で、食材や調味料を購入するのに必要となった予算を足し算するだけです。
つまり「2万円(コーヒー豆)+5000円(砂糖)=2万5000円」となり、この場合の仕入原価は2万5000円と計算されます。
売上原価とは?
売上原価とは、仕入費用や商品の製造に必要となった製造費のほか、製造に携わった従業員やアルバイトなどの人件費、減価償却費、一般管理費(水道光熱費等)が含まれます。
また、売上原価には「売れ残っている商品の原価」は含まれず、発生した費用と収益は同じ時期の損益に含める必要があり、このような会計の考え方を「費用収益対応の原則」と言われています。
この売上原価は、P/L(損益計算書)と呼ばれる資料に記載する必要があり、一般的に「原価」と言えば売上原価のことをさすことが多いです。このような損益計算書に記載される項目を「損益計算書勘定科目」と言われます。
仕入原価と売上原価は何が違うのか
仕入原価と売上原価について紹介しましたが、「この2つの原価は何が違うのか」という疑問を抱く方は少なくないと思います。
単刀直入にお伝えすると、「仕入原価」と「売上原価」の違いは、売れ残った商品の製造に使用した素材の仕入れ額などを含めか含まないかが主な違いと言われています。
売上原価はその年度に売却された製品の食材や仕入れに掛かった費用を含まない額が計上されます。
一方で、仕入原価では、商品が売却されていない状態でもその年度に仕入れた製品であれば仕入れ額を含めその他の費用も計上されるシステムです。
売上原価では、製造した商品が売却されないと計上されず、仕入原価では商品が売却されていなくても計上するという違いを知らないまま経営はできないので、店舗経営を検討している方は必ず覚えておきましょう。
そのほかにも、売上原価と仕入原価では違いがあるため、店舗経営をする前に必ずリサーチし、違いを明確にしておきましょう。
仕入原価を計算する方法
ここまでは「仕入原価」や「売上原価」などの原価についてご紹介し、その違いについてお伝えしました。しかし、「仕入原価」の特徴や種類について詳しくなったが、仕入原価はどのタイミングで計上するべきなのか。このような疑問を抱く方は店舗経営に向いているかもしれません。
実は「仕入原価」の計上のタイミングは、少し複雑で、さまざまな種類やタイミングがあるので、店舗経営に興味のある方は覚えておきましょう。
仕入れの3つの計上基準
仕入原価の計上・仕分けタイミングには主に3つの基準があり、それぞれの基準によって仕入れのタイミングが異なります。そこで、この節では「仕入れの3つの計上基準」の特徴や種類についてご紹介します。
(1)入荷基準
仕入原価の計上タイミングにおける「入荷基準」とは、商品を製造する際に仕入れた他社商品の仕入費用を商品が入荷された日に計上を行う入荷基準のことです。
つまり、自社で製造する商品に必要となる原材料などを仕入れた場合、購入した日ではなく商品が届いた日に計上するということになります。
したがって、「入荷基準」は商品を入庫したのちに原価を計上する基準であることから、実際の物の整理や管理と同時に帳簿にも計上できるので、連携がしやすい基準だと言われています。
(2)発送基準
「発送基準」は、仕入れた商品が店舗に出荷された時点で原価を計上するという基準のことをさします。
例えば、カフェ店でチョコレートを注文した場合、チョコレートの卸先からチョコレートが自社店舗に納品されます。仕入れた商品が出荷された日を原価の計上日とします。
このような仕入れた商品が出荷されたタイミングで、原価を計上する会計上の基準のことを「発送基準」と言います。商品が納品される前に計上するすることになりますが、予定より遅れてしまったり、商品不良があるときには修正の必要がでてきます。
(3)検収基準
検品後に原価を計上する基準が「検品基準」になります。精密機械や大企業などの取引において多く用いられるのが「検収基準」です。納品する商品の品質や状態、種類などがとても重要になる場合に採用されます。
この基準の特徴として、納品した企業と納品された企業同士が取引する時に商品の質が重要となる場合、試運転や納品された側が検収したのちに原価を計上する必要があることが挙げられます。
このような納品された側の企業が納品された商品に問題がないと判断した際に、原価を計上する基準を「検収基準」と呼びます。
仕入原価に仕入れにかかる送料は含むのか
「どのような費用までを仕入原価に含める必要があるのか」に関しては、必ず知っておく必要があります。仕入原価を計上する上で疑問となる「仕入原価に送料は含めるのか」について詳しくご紹介します。
結論からお話しすると、仕入原価に仕入れの際にかかった送料は含める必要があります。
その理由は、「仕入れにかかった費用=仕入原価」となるため、仕入れまでの送料に関しても一般的には計上します。一方で、このような仕入れの際に発生した送料を帳簿に計上することを、「取得原価に含める」ということがあるので、店舗経営をされる場合は覚えておきましょう。
売上原価で粗利益が決まる
売上粗利益を計算する方法
「売上原価」の応用方法は、粗利益の算出が主に挙げられます。粗利益とは、売上から売上原価を差し引いた利益のことをさします。
売上 - 原価 = 粗利
粗利益を算出するには、「売上原価」を用いる必要があります。
売上粗利益を増やすために工夫できること
売上粗利益を増やすには、一般的に「商品やサービスの価格を伸ばす」もしくは「売上原価を下げる」を行う必要があります。売上粗利益の算出方法を考えると、商品やサービスの価格を伸ばし、原価を現状維持にするだけで粗利益は上昇します。
例えば、これまではリンゴを1個/100円で販売し、売上原価は50円だったとすると粗利益は「50円」です。
しかし、売上原価はそのままで、リンゴの価格を150円に引き上げると粗利益は100円になります。
つまり粗利益が以前の価格と比べ、2倍になっていることが分かります。このように価格を引き上げることで、粗利益を大幅に上昇させることは可能なので、店舗経営をされる場合は粗利益を増やすことを意識してみましょう。
戦略的な値段のつけ方
原価から価格を決める
原価を考慮して価格をつけたい場合は、原価計算に材料費、人件費、店舗運営費を含めて、そこからいくらの利益をのせるかで価格を決めます。原価計算に経費を含めることで赤字にならない価格決めができます。
他店の価格を参考に価格を決める
他店の価格を参考に価格を決める方法はこれからお店を開店する方にはおすすめです。
お店を開業する場合は、近くのエリアの同じ商品を扱っているお店の価格を参考にして、少し安い価格やそれに近い価格にすることで商品の実質的な価値を知ることができます。
集客のために赤字価格をつける
あえて赤字覚悟の商品を用意して集客をして、店舗全体の売上を伸ばす手法があります。明らかに他の店より安くて高品質な商品が一つでもあると、そのお店に足を運ぶきっかけになります。他の商品も一緒に購入してもらいます。
売りたい値段で価格を決める
ブランド力のある店舗、独自性のある商品ならば売りたい価格を設定してしまう方法もあります。圧倒的に差別化できる商品なら、売りたい価格を強気で決めることができます。
値段をつけるときに大切なこと
価格の決め方はいろいろな方法がありますが、「原価」と「他店の価格」を考慮することは大切です。商品の戦略に合わせて価格を決めましょう。商品の役割を明確にして、価格をつけた理由がわかるように記録しておくことも大切です。材料や仕入れ商品の値上げがあった場合にも対応がしやすくなります。
まとめ|仕入原価とは?粗利を増やすポイント、価格のつけ方を解説します
仕入原価について解説をしました。お店を経営するときには材料、商品の仕入れを行います。仕入原価、売上原価との違い、価格のつけ方については知っておきたい知識です。長期でお店を経営して、利益を出していくためにぜひ活用してください。
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