オリジナルの商品から既存商品まで、さまざまなお菓子(スイーツ・デザート・和菓子)のOEMを企画開発して経験をもとに、基本的な知識から実例まで説明させて頂きます。
OEMとは?
OEMの定義としてWikipediaでは以下の通りですが、食業界ではシンプルに、自社で製造せずに他社に製造を委託すること、製造を受託することを「OEM」としていることが多いです。
「OEM(オーイーエム、英: original equipment manufacturer)は、他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業である。日本語では「相手先(委託者)ブランド名製造」、「納入先(委託者)商標による受託製造」などと訳される。元来の「OEM」の意味合いに加えて「OEM契約」、「OEM生産」や「OEM販売」など「OEM◯◯」と様々な言葉や用語を派生している」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
お菓子・スイーツをOEMする目的
以前は自社で売る商品はすべて自社でつくっていましたが、自社製造販売を減らしていけば売上は比例して下がっていきますが、以下のように他社に製造委託して商品供給することができ、売上を維持できたり、逆に新しいチャネルに販路を広げて売上を増やすこともできます。
・製造ノウハウや機械をもっていない場合
はじめてお菓子・スイーツをつくろうとした場合、商品開発のノウハウや人材、設備の投資が必要となり、かなり時間もかかるのが普通ですが、OEMによりすでにノウハウや設備をもっている他社に製造委託することで商品化でき販売することができます。
・自社で製造しているが、製造が間に合わなくなった場合
自社の製造キャパが人材不足や設備的に上限に達しているにもかかわらず、売上が伸びていたり、新しい取引先やチャネルからの引き合いに対応する場合、OEMにより商品供給量を増やすことができます。
・自社製造の採算が取れなくなってきた場合
職人の引退や機械の老朽化により製造できなくなったり、販売量が減って採算があわなくなってきて終売にしたくてもお客様からの要望が多い場合には、OEMにより販売を継続することができます。
お菓子・スイーツをOEMするメリット
・機会損失せずに、売上を伸ばすことができる
得意先から注文の数量を増やしたい、新規の取引先から仕入れたい要望がきているにもかかわらず、自社の製造キャパが上限に達しているため、安易に注文を断ってしまうと、対応可能な競合に注文が流れたり、類似品がでてくることがありますが、OEMにより供給体制を自社+OEMで対応することで、自社で増産投資を行うよりも早く、既存・新規から注文に対応でき、売上を伸ばすことができます
・自社の製造の手間や投資を削減できる
製造が不得意な商品を委託できることで、自社では製造効率の高い得意な商品の製造に集中することができ、選択と集中により、全体の生産性や製造利益をあげることができます。また製造が苦手であったり、製造機能をもっていなくても、OEMにより製造✕販売のパートナー体制を構築できることで、役割分担でき、ブランディング営業販売に特化することができます。
・低コストでテストマーケティングできる
新たに製造ノウハウを習得して設備を投資してまで新商品を製造するべきか、簡単に判断することは難しいのですが、OEMによってまず商品化して市場で売ってみることができます。自社で投資するよりもはるかに低いコストでテストマーケティングすることができます。その結果、見込みより低かったとしても、OEMの製造ロットの条件をクリアできれば、販売を継続でき、売上を確保することができます。
お菓子・スイーツをOEMするデメリット
・自社で製造した場合よりも利益率が低い
OEMにより製造委託する場合、自社で製造できた場合に得られる製造利益がなくなり、販売利益のみとなるため、通常利益率が低くなります。ただ、流通チャネルの変化や高いブランド価値により、高い売価でも売ることができる場合、製造+販売のトータルの利益率を維持できたり、高くできることもあります。
・製造ノウハウ流出のリスクがある
自社の製造商品と全く同じ規格で製造委託する場合、自社の材料配合レシピや製造ノウハウを開示することになりますが、製造委託終了後に製造会社が同一もしくは類似商品を製造販売するリスクがあるため、OEMの諸条件について事前に取り決めをしておき、必要な場合は契約を締結しておくことをおすすめします。
お菓子・スイーツをOEMする際の流れ
1. つくりたい商品のご要望・条件のご相談
① はじめに、商品開発スタイルについて教えてください。
- 既存の商品を製造委託したい場合。
- NB商品をベースにオリジナルにしたい場合。
- ベンチマーク商品をベースにオリジナルにしたい場合。
② 次に、商品開発・製造委託のご要望について教えてください。
- つくりたい商品は?
- 使用してほしい原料・素材の供給は?
- ベンチマークの商品、真似したい商品、NB商品はありますか?
- 商品を販売する売り場、流通チャネルは?
- 売温度帯・日持ち条件は?
- 商品のサイズは?
- 売価の設定や仕入値の条件は?
- 希望販売見込み(実績)数量は?
- パッケージは?
- 販売開始予定などのスケジュールは?
2. 品質と条件の事前確認・提携先の選定
当社のほうで御社のつくりたい商品の製造が得意な工場を選定します。工場にご希望の商品スペックの情報をお伝えした上で、製造可能かどうか確認し、製造可能であれば、概算見積を算出します。(取引条件含む)また、たたき台となるNB商品にて品質の確認も行っていただきます。
3. オリジナルの商品開発
NB商品での品質確認、製造販売の諸条件が検討範囲内であることを双方確認の上、商品開発試作をスタートします。納得のいく商品ができあがるまで、改善試作を繰り返します。
4. 製造前の最終チェック
品質・価格ともに合格ラインに達しましたら、最終的に決定した商品スペックでの各種検査、工場ラインでの製造テスト※、改善試作を反映させた正式見積等の条件について最終確認いたします。※手づくりの開発試作と本製造で差が大きくなる場合は、工場ラインでの製造テストを行います。(有償)
5. 製造・販売開始
OEM委託製造されたお菓子・スイーツの事例
・和菓子屋:大福OEM
製造委託していた大福の製造元の製造キャパが上限に達してしまい、数量を制限して販売せざるを得ず、新しい取引の引き合いがきても断っていました。そこで、今後売上を伸ばすためにより製造能力の高いメーカーで現行品の品質にあわせた商品開発を行い、品質を維持しながら量産化することができ、結果、新しい卸売先も増やしても問題ないほど売上数量を伸ばすことができました。
・洋菓子店:バウムクーヘンOEM
焼き菓子として人気のあるバウムクーヘンを自社で製造することを検討していましたが、多額の投資がかかるため、製造委託を選択しました。地元で採れるフルーツのペーストを自社で製造し、バウムクーヘン工場に送り、オリジナルのバウムクーヘンを製造してもらっています。カットバウムとホールの2種類で、自家用から手土産まで売り場を展開することができました。
・地域ブランド販売会社:フルーツゼリーOEM
地元で生産しているフルーツをつかったゼリーをつくって名産菓子として売ることができないか検討しており、はじめは自社で試作しても美味しさが安定せず、賞味期限を長くするには特殊な機械の投資が必要となり、商品化を断念していましたがもともとゼリーを製造しているメーカーにOEMを打診し、試作を重ね、商品化に成功しました。
オリジナル商品の企画開発・OEMならなごみや
まとめ
OEM可能とホームページで説明しているメーカーであっても、基本的なOEM条件を知らないまま打診したり、これまで取引がなかったりするとメーカーに断られることがほとんどだと思います。なごみやでは、オリジナル商品の企画開発OEMを行っており、通常のNB品の卸売取引を通じてOEMの実績があるメーカー様とマッチングしています。クリアすべきOEMの諸条件がありますので、まずはなごみやにご相談ください。