お菓子を販売するときの販売価格の決め方にお悩みではないでしょうか?利益を出して、適正な価格をつける方法をご紹介します。お菓子の販売方法はお店によってさまざま。お菓子を継続的に販売する目的は利益を出すこと、そのためには赤字を出さない適正な価格設定と売れる価格をつけることが必要になります。自信を持って価格を付けられるようになりましょう!
お菓子の販売価格を決めるときに知っておきたい用語
販売価格どう決めていますか?相場からなんとなく、価格を決めていませんか?利益を出すためには、原価、原価率、利益率、掛け率を理解しておくことがポイントになりますので、まずは言葉の意味と計算方法を説明します。
原価
原価は、お菓子を製造、販売するためにかかる費用を指します。一般的には材料費・労務費・製造費に分けて考えますが、お菓子を製造する場合に押さえておきたい費用は以下の4点です。
原材料費(材料費)
お菓子を作るために必要な材料のことです。洋菓子店は小麦粉、砂糖、チョコレートなど、和菓子店は小豆、砂糖、粉類などが主な仕入れ原材料となります。
包装資材費(材料費)
お菓子に直接触れる資材は、シート、袋、鮮度保持剤。ラッピング資材はリボンやシール、箱、缶。販売時の資材はビニール、紙袋などがあります。ラッピング資材や販売時の資材が有償か無料かでも追加する費用が変わってきますので決めておきましょう。
人件費(労務費)
お菓子を作る、販売する人々に支払うお金です。作業員やスタッフの給料や福利厚生(健康保険など)の費用が含まれます。
製造経費・工場経費(製造費)
水道光熱費、家賃、車輌費、その他備品などが挙げられます。毎月決まってかかる費用のため、計算して把握しておくこと、また1個のお菓子にどのくらいの費用をのせる必要があるかを決めておきましょう。
原価率
原価率は、お菓子を作るためにかかる経費が、お菓子を売ったときのお金に対して、どのくらいの割合を占めるかを示す数字です。原価率は以下の式で計算します。
原価率 = 原価 ÷ 売上高 × 100
例えば、お菓子の原価が120円で、そのお菓子を300円で売った場合の原価率は40%です。次のように計算します。
原価率=120÷300×100=40%
原価率を低く抑えることは、ビジネスが利益をどれだけ出せるかを示す大切な情報です。原価率を低く抑えるためには、経費を抑えるか、販売価格を高く設定する必要があります。
この記事では原価率については触れていませんが、用語として覚えておきましょう。
利益率
利益率は、お菓子を販売して得ることができる利益の割合を売上に対して、どのくらいの割合かを示す数字です。利益率をお菓子1個として考える場合には以下の式で計算します。
利益率=利益÷売上高×100
例えば、お菓子の利益が90円で、そのお菓子を300円で売った場合の利益率は30%です。次のように計算します。
利益率=90÷300×100=30%
利益率が高い場合には、自社・自店が儲かっているということになります。目標値としてこれぐらいの利益率を死守したいと設定することもできます。
掛け率
流通用語になりますが、お菓子を仕入れて販売する場合には掛け率で販売価格を計算します。
販売価格に対しての卸値(=仕入れ値)の比率のことで、掛け率は以下の式で計算をします。
掛け率=卸値÷販売価格×100
例えば、販売価格が300円で、そのお菓子の卸値150円の場合、掛け率は50%で5掛となります。次のように計算します。
掛け率=150÷300×100=50%
掛け率は商品の「仕入れ原価率」と同じ意味です。
お菓子の販売価格を決めるための方法
価格を決める4つの方法をわかりやすくご紹介します。看板商品、定番商品、季節商品で計算方法を変えてもいいですし、4つの方法を試してみることもおすすめです。ポイントは利益が出せるように価格を決めること、お客様目線でこの金額が妥当なのかの視点を持つことです。
原価を計算して価格を決める
お菓子を作るためにかかるすべての費用を書き出して、利益を上乗せして販売価格を算出する方法です。上記の原価に上げた費用は漏れなく書き出す必要があります。
・材料費は配合、製造数、材料のk単価からお菓子1個あたりの材料費を計算
・包材資材費はお菓子1個あたりの包材費を計算
・人件費は工程ごとに時間を計測して、時給からお菓子1個あたりの費用を計算
・工場経費は月の経費をお菓子製造数で割って、お菓子1個あたりにのせる費用を計算
確実に費用を書き出してお菓子1個あたりとして計算をすることで、利益がとれる販売価格を決めることができます。
利益率から価格を決める
原価を計算してから、何%の利益率を出すかで価格を決めます。この商品は50%の利益率と決めたら、以下の式で計算して販売価格を決めます。
販売価格=原価÷(1−利益率)
例えば、原価が100円で利益を50%出したい場合、次のように計算します。
販売価格=100÷(1-0.5)=200
利益率から販売価格を決める場合、自社・自店の基準を設けて原価から計算できますが、お客様に買っていただける価格かの確認が必要になります。
掛け率から決める
個包装入りのお菓子を販売するときには掛け率70%、7掛けが一般的と言われていますので仕入れたお菓子でそのまま販売できる場合には一律で決めてしまうこともあります。販売価格を卸値から決める方法は、以下の式で計算して販売価格を決めます。
販売価格 = 卸値 ÷ 掛け率
例えば、卸値が100円で70%、7掛けで販売する場合、次のように計算します。
販売価格=100 ÷ 0.7 (掛け率)= 142.85
140円または、150円で販売しようと決めます。
お菓子を仕入れた場合の掛け率については仕入れたお菓子の状態によっても変わります。こちらについては次の項目、「お菓子の仕入れの状態、販売方法で販売価格を決める方法」で詳しく説明します。
近隣店舗を調査して価格を決める
近隣の自社と同じ業態の競合店の商品を購入して、グラム、価格を調査します。洋菓子店や和菓子屋競合他社と比較して、自社の価格を決定します。
赤字にならない販売価格をつけるように注意しなければいけないので、原価計算をした上で価格を決めましょう。
お菓子の仕入れの状態、販売方法で販売価格を決める方法
卸販売のなごみやがおすすめする、お菓子の仕入れ方、販売までの手間、販売方法によっての掛け率の目安をご紹介します。卸価格または、仕入れ価格の合計から販売価格を想定することができます。お菓子を仕入れるときにはいくらで仕入れ、販売することを検討しましょう。
お菓子の材料を仕入れて加工して販売する場合は3~4掛け
カフェや喫茶店のメニューで、お菓子や甘味用の材料を仕入れて盛り付けなどの加工をしてから販売する場合には、加工にかかった人件費や製造経費を考慮して3~4掛けの30%~40%ほどが目安です。
材料を仕入れてお菓子を製造して販売する場合は4掛け
材料を仕入れてお菓子を製造して販売する場合は4掛けの40%ほどが目安です。経費をもれなく計算をして、経費を卸値に置き換えて計算してみてください。製造した場合には掛け率から計算することは少ないですが、参考としてお知らせします。
仕入れたお菓子をリパックして販売する場合は4~5掛け
業務用としてお菓子を仕入れて、自社・自店でリパックして販売する場合には、リパック資材や作業の人件費を考慮して4~5掛けの40%~50%ほどが目安です。
仕入れたお菓子をそのまま販売する場合は7掛率
個包装された商品をそのまま販売する場合には、7掛けの70%ほどが目安です。
原価計算、利益率を決めて販売価格を決める手順
そもそも、原価はどう計算するの?という方に、お店や小さな工場で簡単に計算できる方法をご紹介します。原価の計算方法、そこから利益率を決めて販売価格を決める手順を説明します。
(1)材料の原価計算
配合の原材料と分量、材料のk単価で材料費合計を計算して、製造個数で割ります。
下の表では材料費合計1160円÷製造数100個=11.6円
100個分 | 材料名 | 分量 | k単価 | 材料費 |
1 | 卵 | 1 | 500 | 500 |
2 | 小麦 | 1.5 | 200 | 300 |
3 | 砂糖 | 1.2 | 300 | 360 |
合計 | 1160 | |||
1個当たり | 11.6 |
(2)資材費
資材費は仕入れロットと価格から1個あたりの材料費を計算します。
資材名 | 使用料 | 仕入れ ロット | 仕入れ価格 | 材料費 | |
1 | 袋 | 1 | 100 | 1000 | 10 |
2 | 乾燥剤 | 1 | 100 | 500 | 5 |
合計 | 1個当たり | 15 |
(3)人件費
人件費の計算方法は様々ですが、1個あたりにかかる人件費を計測して計算する方法の一例を紹介します。作業あたりの人件費は以下のように計算します。
作業工程あたりの人件費=時給÷60分×作業時間
100個分 | 工程 | 作業時間 | 時給 | 人件費 |
1 | 計量 | 10 | 1300 | 216.7 |
2 | 生地づくり | 20 | 1300 | 433.3 |
3 | 成形 | 30 | 1500 | 750 |
4 | 焼成 | 10 | 1300 | 216.7 |
5 | 片付け | 20 | 1300 | 433.3 |
6 | 袋詰め | 30 | 1200 | 600 |
合計 | 2650 | |||
1個当たり | 26.5 |
(4)製造経費・工場経費
水道光熱費、家賃など全体の金額を計算して、1個当たりの原価に割り当てる場合は、その月に製造した商品の比率を出して、その商品の製造数で割ります。
例えば、水道光熱費、家賃、車輌費、その他備品が合わせて10万円だったとします。
3種類のお菓子製造数の比率がA商品50%、B商品30%、C商品20%だった場合、A商品5万円、B商品3万円、C商品2万円と割り振ります。
A商品を5000個製造した場合は、
5万円÷5000個=1個当たり10円の製造経費をのせる必要があります。
製造経費の計算方法は他にもありますが、お菓子1個の原価計算をするための簡単な方法となります。原価計算初心者の方にはまずこの方法からチャレンジがおすすめです。
(5)経費の計算から販売価格を出します
(1)から(4)のお菓子1個あたりの経費を合計します。
11.6+15+26.5+10=63.1
利益率を40%として計算してみます。
販売価格=63.1÷(1-0.4)=105.16
100円、もしくは110円で販売価格を検討します。
この金額でお客様が購入していただけるかを考えて、利益率を35%や45%に変えて販売価格の落としどころを見つけて最終決定をします。
まとめ|利益を出して売れる販売価格をつけましょう
お菓子を販売する場合には、製造して販売する場合や仕入れて販売する場合などいろいろなケースがあります。お店や会社でお菓子を販売する目的は利益を出すこと、そのためには赤字を出さない適正な価格設定と売れる価格をつけることが必要になります。今までは相場から価格をつけていたという方には、ぜひ原価計算してみることをおすすめします。これからお菓子の販売を始める方も、こちらの記事を参考に実践してみてください。自信を持って販売価格を決められるようになりましょう。
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